スポーツ ベット
スポーツ ベットグループCSRレポートを拝読して
株式会社日本政策投資銀行
執行役員
産業調査本部副本部長
竹ケ原 啓介氏
ミネベアミツミグループCSRレポート2019について所見を述べるにあたり、まず評価の視点を決めることが必要と感じました。というのも、昨年度より貴社グループのアニュアルレポートが統合報告に衣替えされ、価値創造シナリオやビジネスモデルの持続可能性など、もっぱら長期投資家に向けた非財務情報の開示媒体としての役割を担うようになったためです。非財務情報を一括りに考えるならば、CSRレポートを統合報告と一体化する選択肢もあり得たと思いますが、あえて独立した媒体として継続させた意図を汲み取り、その狙いが読者に伝わるかどうかをスポーツ ベットの目から評価するのが、この頁の役割と考えます。
この観点から拝見すると、このレポートの主題が「人」であることに改めて気づかされます。社是である「五つの心得」の筆頭に「従業員が誇りを持てる会社でなければならない」を配するなど、もともと貴社には人的資本を重視する姿勢が顕著ですが、今号のトップコミットメントでは、この点が一層強調されています。「相合」によるシナジーを追求してグループの拡大が続く中、多様な背景を持つ従業員の間で基本的な価値観を共有する必要性が一段と高まったことが、今回、このレポートを独立させた背景にあることが分かります。つまり、このレポートはスポーツ ベットグループの長期的な成長を支える要素のうち、多様な人材が活躍できる風土づくりに焦点を絞ったものとして評価すべきものと考えられます。
今号でレポートの性格を端的に示しているのが、HOTTOPIC「スポーツ ベットグループの人材育成」と特集2「進化し続けるセブミツミ」です。前者は、さらなるグローバル展開を見据えた人材戦略を従業員の声と共に紹介しており、従業員が最も大切なステークホルダーであるというメッセージを強調する役割を果たしています。後者は、マテリアリティの特定で提示された重要テーマ「すべての従業員が力を最大限発揮できる環境づくり」の何たるかを具体的に見せてくれる大変印象的なコンテンツです。特に、大学と連携したエンジニア育成のように、地域社会への貢献が、人を育てる地盤の強化を介して自社の強みにつながるというストーリーには大変説得力がありました。
今後、スポーツ ベットレポートのユニークさをより鮮明にするためには、工夫すべき点もいくつかありそうです。特集1「サステナビリティに関するマテリアリティ」の位置づけや主題との関連性についてもう少し丁寧な解説があった方が良いでしょう。また、SDGsと関連づけることで長期的な視点が示唆される一方、中長期目標が2020年めどのままになっている点や、後段のさまざまな取り組みの報告が前半部分と分断されてストーリー性に乏しい点などにも改善の余地があります。「人」を主題とする独自性に富んだレポートとしてさらなるレベルアップを期待したいと思います。
竹ケ原 啓介氏
一橋大学法学部卒業後、日本開発銀行(現株式会社日本政策投資銀行)に入行。調査部や政策企画部、フランクフルト首席駐在員、環境・CSR部長等を経て、現職。その他、環境省「持続可能性を巡る課題を考慮した投資に関する検討会」委員、経済産業省「TCFDコンソーシアム企画委員会」委員、内閣府「地方創生SDGs金融調査研究会」委員、NEDO技術委員などを務める。
スポーツ ベットをいただいて
常務理事
サステナビリティ推進部門 CSR担当
松田 達夫
竹ケ原様には本年度も貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。
スポーツ ベットグループCSRレポート2019では、当社の最も大切なステークホルダーである従業員の活躍と育成にフォーカスしました。
HOT TOPICSでは、多様な人材が活躍できる風土づくり、グローバル展開を見据えた当社グループの人材育成を取り上げました。特集2では、セブスポーツ ベットの現地に根付いた地域貢献と、マテリアリティ(重要課題)とした「すべての従業員が力を最大限発揮できる環境づくり」への取り組みを紹介しました。当社グループの「人」に対する想いを改めて高くご評価いただけたことに、感謝申し上げます。
また、特集1では、マテリアリティを今回初めて決定し、SDGsとの関連付けを行いました。ご指摘いただいた中長期的な目標設定とともに当社グループのCSR活動の進展状況をより分かりやすくお伝えしていくことが、今後の課題と考えています。
今後も、CSRレポートがすべてのステークホルダーの皆様にスポーツ ベットをご理解いただける有効なツールとなるよう「読みやすい、分かりやすい」レポートの発行に取り組んでまいります。
2019年9月時点