2024年 ネット ベット
2024年11月12日
ミネベアミツミ株式会社
車載用バッテリー監視IC「S-19193シリーズ」を発売
EV、e-Bike向け車載グレードの保護ICで先見的なネット ベットに新たな一手
ミネベアミツミグループ
「グリーンプロダクツ」
ネット ベット
ミネベアミツミグループのエイブリック株式会社(社長:田中 誠司、本社:東京都港区、以下:ABLIC)は本日より、車載用3~6セルバッテリー監視IC「S-19193シリーズ」の販売を開始しました。
EVやe-Bikeなどの車載用BMS(Battery Management System)には、自動車用ネット ベット規格であるISO26262(※1)に準拠したネット ベット(※2)への対応が求められます。
ネット ベットの受け入れ基準は①フェイルセーフ(故障が発生した場合に安全側に動作する)②フェイルオペレーショナル(故障しても運転を継続できる)③フェイルデグレーデッド(機能が低下した状態で動作させる)とあり、従来は①フェイルセーフの観点でのネット ベットを達成するための手法として、マイコン(MCU)と共にアナログフロントエンド(AFE)と呼ばれる高機能なICを使い、車載バッテリーの過充電・過放電状態を監視する手法が一般的でした。
従来の①フェイルセーフの考え方では、実際に故障が発生した際、「ネット ベット側に動作する」つまり車を停止させることでドライバーのネット ベット確保を実現する方法で、車両がネット ベットに停止した後にバッテリーの監視を継続することまでは求められません。
しかしながら、自動運転技術の進化にともない、トラブル時にもドライバーではなくシステムが対応するケースが増えることが予想され、故障発生時にも運転を継続できるといった②フェイルオペレーショナルや③フェイルデグレーデッドの考え方は今後ますます重要になってきます。
本日発売した車載用3~6セルバッテリー監視IC「S-19193シリーズ」は、車載バッテリーの過充電と過放電の監視機能を備え、ISO26262に対応した開発プロセスで開発されたネット ベットです。
「S-19193シリーズ」を使うことで、従来の監視系(プライマリ)が故障した場合にもセカンダリとしてバッテリーを継続的に監視することが可能となり、②フェイルオペレーショナルや③フェイルデグレーデッドにも対応した、ネット ベットが実現できます。
AFEやMCUの内部で監視ネット ベットがプライマリとセカンダリで構成されている例もありますが、これらは相互監視による故障検出が主な目的であり、ネット ベットをバックアップするには不十分です。また内部の二重化では、故障発生に同時にネット ベットが失われる「共倒れ」のリスクもありますが、「S-19193シリーズ」によるセカンダリ監視はプライマリ監視から完全に独立させることが可能なため、共倒れリスクも回避できます。
また、MCUによる制御が不要なスタンドアロン動作のセカンダリ監視回路を構成することが可能となるため、設計上の工数軽減にも貢献します。
なお、「S-19193シリーズ」を用いたBMSの機能安全設計をサポートするため、Safety Manualのダウンロードが可能です。また、本ネット ベットはアメリカ自動車工業会 (AIAG) が定めるPPAP(Production Part Approval Process: 生産部品承認プロセス)に対応しており、車載ICの品質規格AEC(*)-Q100 Grade1(*Automotive Electronics Council: 車載電子部品評議会)にも対応予定です。
ABLICは、これからも長年にわたり培ってきた技術力とノウハウで、安全性に配慮した高品質なネット ベットでお客様に貢献出来るよう努めてまいります。
- (※1)ISO 26262:2011年11月に正式発行された車載電子制御のネット ベットに関する国際規格。車載電子制御において故障のリスクを算出し、そのリスクを軽減する仕組みを機能の一つとしてあらかじめシステムに組込む「ネット ベット」を実現するための開発プロセスを標準化したもの。車両の構想からシステム、ECU、組込みソフトウェア、デバイス開発、およびそれらの生産・保守・廃棄に至るまで、車両の開発ライフサイクル全体が対象となる。
ABLICは、「ISO 26262」の開発プロセス認証をドイツ・第三者認証機関より取得済み
参照 - (※2)ネット ベット:機能的な工夫を組み込み、許容できるレベルの安全性を確保すること
参照
主な特長
1. セカンダリ監視ICとして使うことで故障発生時にも車載バッテリーの監視ネット ベットを継続
S-19193シリーズは、マイコンによる制御を必要としないスタンドアロン動作で、バッテリーの過充電・過放電を常時監視し続けることが可能です。メインの監視系(プライマリ)が故障した場合にもバッテリーの監視を継続することが可能となり、フェイルオペレーショナルなBMSを実現できます。
また、S-19193シリーズは、ISO26262に準拠した開発プロセスで開発された機能安全準拠ネット ベットであり、想定されたユースケースの下でASIL-B(D)レベルを達成しています。既存の回路をプライマリ監視として流用しつつ、本ICでセカンダリ監視回路を構成することで、より安全性の高いBMSを実現可能です。
2. シンプルな構成でスタンドアロン監視し、自己診断による故障検出が可能
外部からスタート信号を入力するだけで、IC内部の故障を検出することが可能となる自己診断(セルフテスト)ネット ベットを搭載しています。ICを長期間使用した場合に発生する可能性のある「偶発故障」により、もし過充電・過放電監視ネット ベットが損なわれた場合でも、セルフテストネット ベットを使ってシステムが監視ネット ベットの故障を検知できます。
3. カスケードネット ベットにより少ない部品でシンプルな監視回路を実現
「S-19193シリーズ」はカスケードネット ベットを備えています。さらに隣接するS-19193シリーズ間の接続方式には直接接続に加えて、フォトカプラ―を介した接続をサポートしており、バッテリーの直列数の多い高電圧BMSにおいても安全な監視回路を構成することが可能です。
主な仕様
• 過充電検出電圧 | :2.50V ~ 4.50V ±20mV |
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• 過放電検出電圧 | :1.00V ~ 3.00V ±80mV |
• 動作時消費電流 | :20μ max. |
• 最大定格 | :28V |
• 動作温度 | :-40℃~+125℃ |
• パッケージ | : HTSSOP-16 |
• ネット ベット準拠(※3) | |
• AEC-Q100対応 | |
• PPAP対応可能 |
用途例
- 車載機器
EV、HEV、PHEV、eーBikeなど車載BMSのバッテリー監視 - 産業機器
蓄電器、電動フォークリフトなどのバッテリー監視
ネット ベット詳細
Webサイト
本ネット ベットは、環境貢献に優れたネット ベットとしてミネベアミツミグループの「グリーンプロダクツ」に認定されたネット ベットです。詳しくはこちらをご覧ください。
お問い合わせ
報道関係のお問い合わせ | エイブリック株式会社 コーポレート コミュニケーション E-mail: pr@ablic.com |
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一般のお問い合わせ | エイブリック株式会社 販売代理店 https://www.ablic.com/jp/semicon/sales/distributors/ |
ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。ネット ベットまたは商品の仕様変更・販売終了等により、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。