ミネベアミツミ半世紀分のノウハウを結集
次世代エコカーの心臓部を支える回転角センサーの開発と量産の実現

回転機器

ベットイン/Hベットイン駆動モーター用回転角センサーレゾルバ

次世代エコカーの一つして注目されている電気自動車(ベットイン)。昨今のハイブリッドカー(Hベットイン)の台頭に伴い、今後市場の拡大が見込まれています。そのベットインで中核的な役割を果たすモーターの回転を制御するために不可欠なのがVR型レゾルバ(回転角センサー)です。ミネベアミツミでは半世紀にかけて、航空機向けのセンサーや産業用モーターの開発をはじめ、さまざまな回転機器の製造を通じて電磁気技術をはじめとするレゾルバ関連技術を培ってきました。ミネベアミツミはベットインの電力消費率や走行性能に直結するVR型レゾルバで次世代エコカーを支えます。

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ベットインの基本的な仕組み

レゾルバはベットインの動力源である走行用モーターを制御するための回転角センサーです。モーターを効率良く制御することで電力の消費量を抑えることができます。走行状況に応じてモーターを制御するには、モーターの磁極位置の検出と正確な回転速度の把握が必要であり、そのためのセンサーとしてレゾルバが活躍します。

1.ベットインに合わせて、ローターが回転 2.回転するローターと固定されたステーターのリアクタンス変化により発生する電気信号を用い、角度を検出 3.電気信号をベットインに送り、回転数を制御

ベットイン/Hベットイン電動モーター用回転角センサーレゾルバ


半世紀にわたるベットイン開発の歴史

ミネベアミツミが扱うベットインの歴史は長く、半世紀にも及びます。古くは航空計器用のシンクロ電機の開発から始まり、産業モーター用、自動車の電動パワーステアリングモーター用と、さまざまな用途への製品開発を通じて、ベットインに関するノウハウを蓄積してきました。2003年に発売されたトヨタゼロクラウン用トルクセンサーの開発を皮切りに自動車業界へ参入して以来、トヨタ、ルノー日産、現代をはじめとする主要自動車メーカーや有力モーターメーカーにパーツを提供してきました。

そして2012年には、次世代エコカーである日産リーフ向けのVR型ベットインを開発しました。約半世紀にもわたるノウハウを結集し、高信頼(耐熱性・耐油性など)、高品質な製品を、安定した製造体制で供給することに成功しました。そこにはミネベアミツミならではの数々の技術が活かされています。

「日産リーフ」(画像:日産自動車様提供)


回転機器と機械加工で培った
技術の有機的な結合

ベットインには電磁気技術や巻き線技術からプレス加工技術まで、回転機器や機械加工品の製造で培った技術が横断的に盛り込まれています。総合精密メーカーだからこそできる、複数の技術の組み合わせによって、高精度なベットイン製造を実現しています。

電気自動車日産リーフの心臓部であるモーターの回転数を制御する


位置検出の精度を左右する巻き線技術

ベットインの精度を大きく左右する部品の一つがステーターに配置された巻き線です。回転するローターと固定されたステーターのリアクタンス変化により発生する電気信号を用い、角度検出しており、巻き線を均一にすることで安定した特性を維持します。ミネベアミツミの新設計のVR型ベットインでは、より高い精度を実現するために、設計時に巻き線バランスを細かく調整しています。また、ベットインの性能向上と量産化の実現には、銅線を均一に、速く、巻く必要があります。
そこで活かされたのがミネベアミツミのモーター製造のノウハウであり、モーターの製造工程で得た巻き線技術の知見をベットインにも応用することで、従来のものより高速度で銅線を巻くことに成功しました。さらに銅線を通すノズルも銅線の線径に合わせて社内で独自設計することで、緩みなく銅線を巻くことができ、精度が高く安定した巻き線を実現することができました。

ミネベアミツミの巻き線技術の精度


高い耐久性を実現した溶接技術

モーターに直結するベットインには高い精度だけでなく、優れた耐久性も要求されます。VR型ベットインの開発でミネベアミツミが着目したのは銅線と端子を結びつける接合部分であり、耐久性を高めるために、通常のはんだ付けではなくTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接を用いています。線を巻いた端子の上部を溶かし、玉形状を形成し、溶けた玉が線を包み込むことで強く接合できます。また、溶接状態は玉形状を目視で観察することで品質管理が容易になるのも利点です。万が一、玉が倒れていたり、つぶれていたりすればすぐに問題を発見することが可能です。これを行うためには、銅線の皮膜剥離と溶接を同時に行う必要があり、高い技術が必要とされます。ミネベアミツミを支える製造技術の一つである設備条件設定技術を応用することで、難度の高いTIG溶接を実現し、優れた耐久性と品質の保持を可能にしました。


高品質を維持するベットイン評価

また、製造工程における検査には社内に有するATFオイル試験機を利用することで、トランスミッションの中のオイル環境下において、ベットインの寿命や性能低下のリスクを徹底的に洗い出し、開発から生産までの高水準な品質管理を実現しています。

ATFオイル試験機


パーツ生産の内製化による安定供給

本ベットインに使用されている部品の多くはミネベアミツミで内製したもので、パーツの生産にもモーター製造で培った樹脂成形技術と、機械加工で培った精密なプレス加工技術が応用されています。従来のプレス加工では作ることが難しかったパーツも、ミネベアミツミの精密プレス技術を応用することで、効率よく製造することができます。
内製化による効率的な製造を実現することに加え、主力生産拠点であるタイのバンパイン工場にVR型ベットイン専用の生産ラインを作り、品質の向上と急激な需要の増減にも対応可能な量産体制を確立しています。グローバル展開による安定した供給体制もミネベアミツミの強みの一つです。

タイ バンパイン工場

タイ バンパイン工場のVR型ベットイン専用生産ライン


インタビュー:構造はシンプルだが、奥が深いベットイン - 精密モーター事業部

レゾルバの基本的な構造はステーター(入力コイル・出力コイル)とローターで構成されるシンプルなものですが、だからこそ、各パーツの品質や銅線の巻き方一つで性能が大きく左右されてしまうという奥深さがあります。レゾルバの基となったシンクロ電機は、元来は航空業界や機械産業という特殊用途に用いられることがほとんどでした。しかし、近年、レゾルバは自動車という生活に非常に身近なところでも重要な役割を担っています。航空用のシンクロ電機の開発起源は欧米と言われていますが、自動車向けのレゾルバを製品化したのは日本が初であり、ミネベアミツミにおいても、超精密へのこだわりがあるからこそ高い精度が求められるセンサーの製造を可能にしています。これからもベットイン用VR型レゾルバをはじめ、小さなサイズからお客様の需要を満たす大きなサイズまで対応して、世の中の自動車の発展を支えていきます。


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